カミュの『異邦人』。この本の名前は、みなさん知っていると思います。
ぼくも名前だけ知っていました。でも、急に気になってきたので、衝動的に本屋で購入し、読む事にしました。
そしたらまあ、面白いのなんのw
どれくらい面白かったかというと、歩いている最中も読むくらい面白かったのです。概要はこんな感じです。
①主人公の母親が死んでしまう。
ある日、主人公の母親が死んでしまいます。これに主人公、ショックを受ける・・・・
・・・・・いや、主人公、ほとんとショックを受けないのです!
ここら辺から、この小説の異常性が垣間みえてきます。作中にはこんな事が書いてあります。母親の葬儀を終えた場面です。
また、教会や、歩道に立つ村びとや、墓石のそばの赤いジェラニューム、ペレーズの失神(関節のはずれたあやつり人形みたいな)、ママンの柩の上に散らばったひとたち、声、村、喫茶店の前で待ったこと、エンジンの絶え間ないうなり、そして、バスがアルジェの光の巣に入ったときの、私の喜び、そのとき、私はこれで横になれる、十二時間眠ろうと考えた。ー本文より
母親が死んだ。多分ぼくであれば錯乱状態に陥っているでしょう。
ところがこの主人公は「やっとおわったー!」という感じなのです。この「何事にも冷めた感じ」は物語全体に通底しており、現実離れしています。この異常性がソソリマスねえo(`ω´ )o
②母親の死の翌日、女性と遊ぶ
そうして母親が死んだのち、男は海へと出かけます。そこでマリイという女性に出会うのですが、彼はそのマリイと遊びまくります。
母親が死んだのに、なんともないかのように異性と遊ぶのです。これってなかなかできる事ではありませんよね。
③何となく、アラビア人を殺す
ここがこの本のハイライトですが、男はその海辺でなんと、アラビア人を殺害します。
さして憎しみがあるわけでもありません。男はアラビア人を銃弾一撃で撃ち殺しました。そのあと、こんな記述があります。
私はこの身動きしない体に、なお四たび撃ちこんだ。弾丸は深くくい入ったが、そうとも見えなかった。
理由は、一切書いてありません。身動きしない、つまりは死んだ人間に対して、さらに4発も打ち込むのです。「ただ、何と無くやってる」んです。
異常すぎますよね。
④死刑判決を受けるが、その時の聴衆の憎悪の叫びを望む
男は死刑が確定し、獄に入ります。彼の弁護士は最終的に彼の異常性を否定して叫ぶのですが、当の本人、さして気にとめる様子も、取り乱した様子もありません。
そして死刑が近づいたある日、主人公はこんな事をいいます。
すべてが終わって、私がより孤独でないことを感じるために、この私に残された望みといっては、私の処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びをあげて、私を迎えることだけだった。
人の憎悪を、求めているのです。どういうことなんだろう。これも、理由は書いておらず、そのままこの小説は終わりを迎えます。
⑤終わりに
「なんなんだろう?」とつい思ってしまうのがこの小説です。
どっからこの異常性は生まれてくるのでしょうか。もしかしたら、結局人の心に理由なんてなく、物事を「何と無く」決めてしまっているのでは、ということを作者のカミュはいいたかったのかもしれませんね。
気になる方はぜひ読んでみてください。かなりおすすめです。変人はハマりそう( *`ω´)
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