小説家を目指す人なら必ず通過しなければいけない本があります。
それが、梶井基次郎の
『檸檬』
です。
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梶井基次郎さんの檸檬は本当に大好き。 好きすぎて描いてしまった。 ※病んでるわけではない ※字が汚いのは気のせい pic.twitter.com/LhblfcnQlf
— 狐狗狸 (@nonkatoia22) 2015, 12月 12
梶井がなぜすごいか、ということには諸説ありますが、ぼくは勝手に「日常への洞察と、表現の正確さ、美しさ」にあると思います。
梶井のすごさ① 日常への洞察力
とにかく、まず洞察力がすごいのです。
得体のしれない不吉な塊が、私の心を始終押さえつけていた。焦燥と言おうか、嫌悪と言おうか。ー本文より
この時、梶井は肺結核を患っていて、苦しい日々を送っていました。それを上記のように表現しているのです。
ぼくだったら、「胸が苦しいよ。」で終了です。
「自分の置かれた現実を正確に見据える」ことこそ、梶井のすごさの一つです。
読書ログ 『 檸檬 』 ★★★★☆ 4.0 – 『檸檬』は何度か読んでお気に入りだったが、梶井基次郎作品集は初読み。人生の闇と明かり照らす小説家の洞察力と冴えた感覚にほれぼれした。物が見えているの… http://t.co/1Mhc2zG66u #読書ログ #読書
— まきたろう (@syurooster) 2015, 3月 8
すごさ② 表現の正確さ
で、表現も正確ですよね。「得体のしれない不吉な塊」と言われると、なんかすごくいやーなものが体内にあるのだということが伝わってきます。
この表現の正確さ、鋭さも梶井のすごさの一つです。
満開の桜の下には死体が埋まっている その死体の描写が美し過ぎて、ああ、だから桜はこっちを大量の目で覗きこんでくるのだなと納得出来て、梶井基次郎の表現力に感動した
— くやきゃそ (@eccentricrazy) 2015, 11月 30
すごさ③ 言葉の美しさ
さらにさらに。上記の抜粋を、音読してみてください!!!!!!
・・・めちゃくちゃ読みやすいのです。これ、美しいですよね・・・。正確なのに加えて、「音」も良いのです。この美しさも魅力の一つです。
終わりにー個人的な、檸檬における最高の一文
どうでもよいですが、ぼくはインドで全てこの小説を暗唱しました。
で、一人で毎日つぶやいて、ニヤニヤしていました。
何度もつぶやいてみてわかった、『檸檬』におけるもっとも美しい、最高の一文を紹介します。
それは、梶井が果物屋で檸檬を見つけた時の、次の文です。
何か華やかな美しい音楽の快速調(アレグロ)の流れが、見る人を石に化したというゴルゴンの鬼面ー的なものを差し付けられ、あんな色彩やあんなボリュームに凝り固まったというふうに果物は並んでいるー本文より。
ここでは、
「何か・・・快速調の流れ」=檸檬
です。
「音楽が、ゴルゴンの鬼面のおかげで、レモンの色彩やボリュームに変化した」という意味ですね。
レモンを見ただけで、こういう描写をするのです。感性が違いすぎますwww
ぼくらは日常で様々な雑念を思い浮かべます。しかし、それは直ちに消えゆきます。普通、それはスルーされてしかるべきものです。ただ、梶井はこれを見逃さないのです。
最強の、リアルを描写する文学者なのです。
見習いたいですね。。。文章に行き詰ったとき、足りないのは「経験量」じゃなくて、「経験を逃さない目」なのです。
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