副島隆彦さんの『余剰の時代』を読んだ。
ここでいう「余剰」とは、
「情報」や「資源」の話ではない。
そう、「失業者」のことなのだ。
余剰とは、ズバリ、余ってしまった人間たちのことだ。失業しそうな者たちのことを指す。だから、今のあなたが余剰そのものなのだ。ーまえがきより。
歴史における「余剰」の扱いなど、
歴史家ならではの冷徹な視線で述べられている。
さっそく見てみよう。
[amazonjs asin=”4584124701″ locale=”JP” title=”余剰の時代 (ベスト新書)”]戦争は人間の「在庫処分」という側面を持つ。
政治思想家の副島さんは、研究の結果、戦争の意味のひとつを
「在庫処分」
としました。
アレキサンダー大王の征服戦争では、支配地の原住民は皆殺しにあいました。
中国でもこの例があるそうだ。
戦争の恐ろしさは、過剰、余剰なものを処分するという思想が根底にあることだ。いくらヒューマニズムや人権思想が強くなっても,恐らくこの人間の法則は変わらないと、私は思っている。ー本文より。
怖いですが、これが戦争の本質なのです。
相手が憎いから殺すのではなく
「経済的に」
殺す、という側面があるのですね。。
こういうことをわたしたちはもっと学ぶべきなのかもしれません。
ルソーが全体主義の親玉!!
副島さんはこの本のなかで、徹底的に「ルソー」を批判しています。
その理由は、
「自由をとなえているのに、全員が国家と契約を結んでいる」
と断言したところですね。
「ハイ。あなたはすでに契約しています」と言われてしまったら、そこから離脱できない。現実にそうだ。日本国民として生まれたら、もう国民としての義務に服せとされる。権利もあげるけど、義務も果たせ、と。「いやだよ。」と言っても逃げられないのだ。ー本文より。
ある程度「支配」に許容的な思想家ならいいんですよ。
しかしルソーは「自由」を標榜してるひとですから、
この自己矛盾は明らかにおかしいのです。
この考え方がのちの全体主義の契機となった、ともいっています。
生き延びるための思想10ヶ条とは。
副島さんは生き延びるために「10ヶ条」を掲げています。
それは以下の10個です。
・夢や希望を持たない
・自分を冷徹に見る
・自分のことは自分で。
・綺麗事をいうな!
・国家に頼るな!
・ズルい世間に騙されない
・ある程度臆病でいる
・世の中のウソを見抜け!
・疑う力をつけろ!
・いつまでもダラダラ生きない!
10ヶ条、大事にしたいですね。
特に「世の中のウソを見抜く」のは、情報過多の現代では必須。
終わりに
極めて現実的な本でした。
世の中はウソで成り立っている。
そこをしっかり勉強して見抜いていかねばならない。
そういったことを再認識させられた一冊でした!
こういう現実的な本、大好きだなぁ。
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