太宰治の『列車』を読んだぞ。
『列車』は、太宰治の処女作『晩年』に収録されている短い小説だ。
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この小説は先に書評した『魚服記』などに比べて読みやすく,サクサク読めるのが特徴だ。
しかもたった5ページしかないので、あっという間に読むことができる。
内容は、ざっくりいうと、妻と一緒に友人の見送りに駅のホームに来たんだけど、想像以上に妻が友人と話せなかったのでイラっとした、というもの。
太宰の小説にはこういう主人公の表には出さない裏の顔系の小説がかなり多いのが特徴。
このあたり好ききらいわかれるポイントだと思う。
主人公は、妻が友人と同じく「貧しい」人であったから、友人とより分かり合えるだろう、という目算のもと、友人に合わせたのだった。
私はテツさんに妻を引き合わせてやった。私がわざわざ妻を連れて来たのは妻も亦テツさんと同じように貧しい育ちの女であるから、テツさんを慰めるにしても、私などよりなにかきっと適切な態度や言葉をもってするにちがいないと独断したからであった。ー本文より
しかしその計算は見事に外れ、妻は友人と気まずい対応をするにとどまった。
しかし、私はまんまと裏切られたのである。テツさんと妻は、お互いに貴婦人のようなお辞儀を無言で取り交わしただけであった。ー記事より
主人公の妻disりは止まらない。
列車の発車時刻が近くなっても、妻と友人と主人公は気まずい雰囲気のまま。
ここでも主人公は自分の口ベタを棚にあげ、横にいる妻をdisる!!
妻がもっと才能のある女であったならば、私はまだしも気楽なのであるが、見よ、妻はテツさんの傍にいながら、むくれたような顔をして先刻から黙って立ちつくしているのである。ー本文より
そうして結局、妻と友人は気まずい感じのままであった…
こんな感じの、主人公の心の中を描いた短編だった!
この小説が収められてる『晩年』、きになる方はぜひ!
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