太宰治の『地球図』を読みました!
この小説は太宰の処女作『晩年』に収められた短編小説です。
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いやー読みやすくて速攻読み終えてしまいましたねえ。
晩年は刊行年が古いんで、文体も古いのが多く、結果読みにくくなりがちなんですけど、この作品は読みやすい。
ざっくりと作品紹介してみましょうか。
こんなお話→新井白石とキリスト宣教師のお話
この物語は江戸時代のキリスト宣教師が主人公なんですけど、最終的に新井白石と対面する流れとなっています。
主人公の名前は「シロウテ」。
彼は日本に精通するために、日本の風俗や言葉を必死に勉強します。その月日はなんと3年にも及びます。
しかし、結局その努力もむなしく、怪しまれた彼はあえなく捕まってしまいます。
で、そのあと彼とあったのが上述の新井白石なんですよね〜〜!
ここが見どころ→最後のオチが最高。
太宰の物語は基本的にオチがバレても面白いので、ここではネタバレします笑
この物語では最後、シロオテは獄舎につながれてそのまま牢死してしまうんですよ。
彼を処罰するときに、江戸幕府は「本国へ返還」、「処刑」、「獄につなぐ」という3つの策から、最後の獄につなぐ選択肢をとります。
しかし、彼は「はる夫婦」という夫婦に法を授け、折檻されてしまいます。
将軍は中策を採って、シロオテをそののち永く切支丹屋敷の獄舎につないで置いた。しかし、やがてシロオテは屋敷の奴婢、長助はる夫婦に法を授けたというわけで、たいへんいじめられた。シロオテは折檻されながらも、日夜、長助はるの名を呼び、その信を固くして死ぬるとも志を変えるでない、と大きな声で叫んでいた。
それから間もなく牢死した。下策をもちいたもおなじことであった。ー本文より。
くーーーー!!!
最後、最後!!wwww
下策というのは「処刑」のことですね。
処刑と同じだった、というこの結びが最高にそそります。
これは太宰の特徴なんですが、最後に冷たく突き放すときがあるんですよ。諸行無常というか、虚しさをサクッと伝えてくるときがあるんです。
今回の場合はこの一文ですね。トーンと突き放す冷たいオチ。それがこの物語のハイライトと言えましょう。
太宰は人生を必死に生きながらも、その自分を上からもう一人の自分が見ているような印象を受けるんですよね。
っと話がそれてしまった。
というわけで、この短編が収められてる『晩年』が気になる方はぜひ!
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