いやーついにこの日がきた!!!!
太宰治の作品でめっちゃ好きな『猿ヶ島』!!!
この短編も太宰治の処女作『晩年』に記載されてます。
[amazonjs asin=”4101006016″ locale=”JP” title=”晩年 (新潮文庫)”]
当記事で紹介する作品は個人的に最強に大好きなので、ちょいとテンション高めでお送りいたしますw
どんな物語なのか。
それは『動物園の猿』の物語です。
気づかぬうちに動物園に連れてこられた猿が、現状を打破するために動物園から脱走するお話となっています。
主人公は2匹の猿なんですが、その2匹がめちゃくちゃ人間チックな話を展開していて、まずそこが面白い!
動物園にいる人間を見たときの2匹のやりとりがコチラ。
彼は私のわななく胴体をつよく抱き、口早に囁いた。
「おどろくなよ。毎日こうなのだ」
「どうなるのだ。みんなおれたちを狙っている」山で捕われ、この島につくまでの私のむざんな経歴が思い出され、私は下唇を噛みしめた。
「見せ物だよ。おれたちの見せ物だよ。だまって見ていろ。面白いこともあるよ」ー本文より
なんて人間っぽい猿なんだ・・・。
でもこのストーリー、結構共感できちゃうんですよ。
というのも、人が社会に対して文句をいう構図と似ているからです。
ぼくもしょっちゅう社会に文句を言いたくなる中二病ですが、そんな感情を代弁してくれてる感じがするんですよね。
社会から、いわゆる「逃走」したくなる人は、意外と多いのではないでしょうか。
そんな心理状態を、このストーリー中の猿は見事に表現してくれてます。
「君は逃げるつもりか」
「逃げる」
青葉。砂利道。人の流れ。
「こわくないか」
私はぐっと眼をつぶった。言ってはいけない言葉を彼は言ったのだ。ー本文より。
うおおお!!!あつい!!!!
さらに引用。
「よせ、よせ。降りて来いよ。ここはいいところだよ。日が当るし、木があるし、水の音が聞えるし、それにだいいち、めしの心配がいらないのだよ」
彼のそう呼ぶ声を遠くからのように聞いた。それからひくい笑い声も。
ああ。この誘惑は真実に似ている。あるいは真実かも知れぬ。私は心のなかで大きくよろめくものを覚えたのである。けれども、けれども血は、山で育った私の馬鹿な血は、やはり執拗に叫ぶのだ。
ー否! ー本文より
否!!!!否!!!!うおおおおおおおおおお!!!!!!!!
このサルあついぜ!!!!!!!
「しがらみからの逃走」というのは多くのアーティストがテーマにしてますが、この物語の主題もそんな感じ。ストーリー展開がアツい!!!
さあ、サルは動物園から逃げ出すことができるのか!?
気になるかたは是非!
[amazonjs asin=”4101006016″ locale=”JP” title=”晩年 (新潮文庫)”]
太宰の本をすべて書評する企画やってます。もう1本いかがですか?
【宣言】太宰治の全作品の書評を書きます!
走れメロスー太宰治の数少ない「アツい」友情物語!【太宰治の全作品を書評するno.1】
葉 in晩年 by太宰治ー冒頭からガツンと来る短編小説!【太宰治の全作品を書評するno.2】
『思い出』ー太宰治の処女作『晩年』に収録された少年期!自身の過去の投影か。【太宰治の全作品を書評するno.3】