なかなかの難易度で、読むのを躊躇しがちだった『カラマーゾフの兄弟』をやっと読み終わった!!
物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。ー「BOOK」データベースより
600ページにも及ぶ文章が、上中下の3巻にも渡って続いている。読むのにめちゃくちゃ時間がかかった。
しかも、舞台はロシアで、宗教、哲学、歴史などさまざまな要素が絡まっているので、難易度もかなり高かった!
しかしそのぶん、「読んだぜー!」という達成感も他の本に比べると大きかった。これが超長編の魅力だよね!!
というわけで、難しくも読み応えのあるこの本のおすすめポイントをざっくり紹介しよう。
ざっとわけると次の3つかな。
・人物がぶっとんでて面白い。
「兄弟」という文字がタイトルにもあるが、この小説はある4人の家族が中心に描かれている。
一家の主である「フョードル」、長男「ドミートリイ」、次男「イワン」、三男「アリョーシャ」の四人だ。
この四人の個性が、とにかくぶっとんでいて面白い。
フョードルは息子達をほったらかして遊び放題で、さらに常に演劇的。一切本心を見せない。
ドミートリイは情熱に満ち溢れていて、血の気も多く危なっかしい
イワンは理性的で神を否定するクールガイ。
アリョーシャは信心深い超素直ないいひと。
彼らの個性がぶつかり、絡まり、認め合う、その連続が読んでいて楽しい。自分は誰タイプだろうなあ、と考えるのも一興。ぼくはアリョーシャとフョードルに似たところがなるなあ。
・感情表現がとにかく細かい!
「好き」、「嫌い」。そんな二項対立で感情を考えることがある。しかし、実際の感情はもっと奥深く、一言では表せない。
カラマーゾフがなんでこんな長編になったのかと考えたときに、その原因の1つが「感情の表記がとにかく細かい」点にある。
「それ好き!」とストレートに言ってしまう自分を、少し恥じた笑
今後は「それは鼓動が波打ってふわりと高揚感に身体が支配されて天にも昇る心持ちだから好き」というように、細かく表現するようにしよう笑
嫌われそうだ笑
・盛り上がるシーンはかなりのめり込める。
個人的に、この物語は「一家が老人に会いに行くシーン」と「殺害シーン」が最高にそそった。時間が経つのを忘れとにかくページをめくりまくったのを覚えている。
ひとによってハマるシーンは異なるだろうが、その好みのシーンもかなり「細かく」表現されているので、心ゆくまで味わいつくすことができる。この記載の細やかさは常軌を逸していて、他の小説では滅多にお目にかかれないかもしれない。
終わりに
「成長したけりゃ古典を読め!」とはよく言われる言葉だ。
ぼく自身もその意見には賛成している。古典は時代の荒波を乗り越えて今に残っているので、どの時代にも精通するエッセンスがてんこ盛りなのだ。
しかし、古典にはもっと魅力的な面もある。
それはなにより、「楽しい」のだ。古典はいつも、自分の全く知らない世界の連続。それを味わっていると、異世界にワープした気分になり、一つの快楽となるのだ。
古典の1分野である「世界文学」の最高峰に輝き続ける『カラマーゾフの兄弟』。
「役に立つ」は脇へ置いておいて、まずは異次元の天才の作品を心ゆくまで楽しんでみてはいかがだろうか。